赤く問い黒く答える
或る二人の日常。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
クリスマス
記入者:赤頭巾

「メリー・クリスマス。」

黒頭巾は机に向かいながら、いつもとは違う挨拶に少々吃驚したようだが、いつもの仏頂面を見せる。

ええ、わかっていますよ。そういうのは苦手、でしょう?

「我らにはカレンダーがないのですから、ちょっとだけ頂いても良いじゃないですか。人間也の楽しみ方。」


「それに、いつまで経っても変わりはしません。赤頭巾と黒頭巾は。いつも赤頭巾と黒頭巾ですよ。」

そうして、普段どおりに夕飯を作った後に、丸太型のケーキを添えた。
赤頭巾の妄想
記入者:赤頭巾

聞け!星々の運動、それは右手に仰ぐ月の影に、左手に仰ぐ太陽の影に。
聞け!雲々の運動、それは右足に脈打ち、左足に潜るもの。





それだけを考えた赤頭巾が、先が続かない。とため息をつく。黒頭巾は毎日忙しそうだ。そんな忙しそうな黒頭巾の横顔を見てから、また、いつものようにサラサラと日記を記入し始めた。



明日は聖なる夜だ。聖なる夜とは如何なものか。祭りの夜はいつでも神聖なものであるのかもしれない。祭りは奉りであり祀りだろうか。どの「まつり」であるかは興味が無い。自分としては、纏るほうが大切なのだ。この現実に生きる、非現実を。



 明日は聖なる夜だそうです。街は浮き立ち、白だの赤だの緑だの、とても煌びやかです。仮装祭とは違い、清楚な感じであり、厳かな雰囲気すら御座います。それはこの時期に雪がすべてを白くするせいでしょうか。
 雪が世界を白くし、それが清めだとするのであれば、その中に浮き立つ「緑たち」は何でしょう。きっとモミの木でしょう。では、「赤たち」は何でしょう。暖かい暖炉の火でしょうか。あのヒト達の行うことは、やはり、興味深いものです。




赤頭巾は、ここまでを記入をすると、ぱたり、と日記帳を閉じた。
日記を書きながら、思い浮かべていたのは過去に兄と白い雪が積もった日に、針葉樹林の森へ狩りに出かけたことだ。

獲物は白兎だった。


「赤と緑…。」

ふふっ、と、何処を見るわけでもなく笑うと
「金は…間違いなく、星でしょうね。」
と、頭の中で妄想を広げるのだった。
引越し
記入者:赤頭巾

---以下は鳩が運んだ手紙の内容----


 相変わらず机に齧りついていますか?明日、またご飯を作りにいきますからね。

 そうそう、ここ数日の変化を報告するのを忘れていました。先日は解放軍に所属となりましたので、解放軍の茶室へ向かいました。ええ、花は御座いませんでしたが彩り溢れる男性方が多々いらっしゃいましてね。大変興味深くお喋りをしました。しかし…なんともまあ赤い色をもつ方が多いこと多いこと。一度見にいらしてください。

 それはそうと、そこで出会ったムゾリ様という方が同居人の募集をしていましてね。前々より同居というものに興味が御座いましたので伺ったところ、もう1人のムゾリ様の同居人、六識様も快く返事をくださり、承諾を得ました。二日後、戦争へ赴いたムゾリ様の代理として黒い狼さんがお迎えに来ましたので、テントをしまい、さっさとムゾリ様のお家に向かいました。
 ---おやおや、この赤頭巾めとしたことが…狼さんがいらっしゃったのに家を出る際にパンとワインを忘れ、ケーキなど持ち、花を途中で摘まなかったのは失態ですね。---

 何はともあれ、ムゾリ様と六識様と狼さんと…ええ、何やらまだ気配はするものの姿は見えない方と同居することになりました。お香の香りが漂う良い家です。同居人様達にはケーキをホールで2つ。アップルパイとチョコレートケーキをそれぞれお渡ししたのですが、今考えるとケーキは1つにしてイノシシの1頭でも持ってくるべきでした。男性二人にケーキとは…。ふふ、いけないですね。つい、いつもよくお話するゼブ様に甘いものを振舞っていましたので…同じようにしていたことをしてしまいましたよ。ああ…、ゼブ様は前にプラムをくだすった方です。覚えていますでしょう?

 秋が深くなりましたね。冬の香りが漂ってきました。冬になる前に鹿を1頭、干しましょう。豚を二匹潰してソーセージにしましょう。ジャガイモもそろそろ大量に必要ですね。粒の大きな葡萄はお土産に持っていきましょう。今年の栗は小ぶりですが、甘いようです。買っていきますのでお菓子にしましょう。そのままにしておいた刈った小麦も石うすで挽きましょう。巷ではハロウィンというお祭りがあるそうですよ。あとでそれについてもお話しましょう。

 長くなりましたね。ではまた明日。おやすみなさい。
                  



----------------------------------------------------


「…さて。」
赤頭巾は部屋の隅の籠の中から鳩を取り出した。鳩の両足に銀の筒を付け、その中に手紙を入れる。
両手で包むように鳩を抱き上げ窓を開ける。外は夜だ。
「御願いしますよ。さあ、おゆきなさい。」
夜へと投げるように鳩を放すと、鳩は2.3周上空で回った後にいつもの場所を目掛け、滑るように闇の中へその白い姿を消した。
ふと思うこと。
記入者:赤頭巾

別にどうという事は御座いませんが、料理がそこそこ出来るのは兄の面倒をしているからであって客人を迎える時にこんなに役立つとは思っておりませんでした。



…必要なさそうですがね。ふふふ。
記入者:黒頭巾


気がついたら倒れていた。右眼の奥。頭痛が酷い。
ピンポイントで鋭い痛みが鈍く溜まる(?)のだが、一体どうしたと言うのだろう。何かの予兆であるのか否か。ただの一過性の風邪のようなものであれば良いのだが。昨日の夕方頃から意識がない。気がついたら今だ。参った。

赤頭巾には本当に申し訳ないと思う。色々世話をかけるわ、何かと多忙を理由にしてここ最近会話数が少なくなる。何とかすれば何とかならなくもないのだ。が、空ける隙間を作るタイミングがなかなかに難しい。すまない。
もともと他人と話すことも少ない俺だから、肉親である赤頭巾とはせめて、と思う。

さて……どちらにせよ、やることはやらねェとな。(笑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。